「裁判官マップ」という名称のサイトがある。
そこに,各裁判官に対する口コミを記入することができる。
が,裁判官に対する口コミには,ほとんど意味がない。
その理由は簡単で,自分にとって都合の良い判断をした裁判官は,良い裁判官。
都合の悪い判断をした裁判官は,悪い裁判官。
人は,そのように判断するものだ。
当事者は,(その当否は兎も角として,)自分が正しいと思っているものである。
自分に非があると思っていても,もしかしたら勝てるかもしれないと考えて頑張る人もいるが,大抵は,自分が正しいと思っている。
しかし,実際には,裁判の一方は,法律の理解や証拠の評価を間違っていたり,そもそも証拠がなくても自分の主張が通るべきだと思っている。
場合によっては,双方が誤った考えに基づいて訴訟活動をしていて,訴訟がグチャグチャになっていることもある。
だから,自分の主張を認めてくれない裁判官は,「人の話を聞かない」「不公平」「無知」「早く終わらせようとだけ考えている」悪い裁判官だと評価する。
そんな評価に,何の意味があるのか?
「口コミは,弁護士だけが書けるようにするべきだ。」という意見も見たことがある。
しかし,一部の弁護士も,同じようなものだ。
真っ当な弁護士も多く,その意見・見解は尊重に値するが,そのような方は,口コミなんか書き込まないものだ。
真っ当ではない弁護士は,最高裁が明示している判断基準を誤解していたり,法制度を知らなかったりする。
どうも,何かの本の孫引きだけで主張をまとめ,最高裁の判断を読んでいない弁護士が,よくいるようだ。これは,マニュアル本に頼る若い人に多いと感じる。
実際に私が担当した訴訟では,家賃の滞納がある場合に,催告せずに直接契約を解除することが許されるか?という点や,離婚に責任がある当事者からの離婚請求が認められるかという点で,誤解がよくみられた。
また,住居表示制度が日本中で施行されていると思っている無知な弁護士もいた。
こんな弁護士による評価に,どんな意味があるのか?
さらに,裁判官に対する口コミを公表するシステム自体,裁判を悪くするシステムだ。
口コミを投稿できるということは,そのような意見に従うことを裁判官に求めるということだろう。
つまり,声が大きな当事者側に有利に判断しろということだろう。
こんな口コミは「雑音」であり,司法制度を歪める有害なシステムだな。

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